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ご挨拶

 

 私たちは、常設展と自館のコレクションを活用した展覧会への展評を書き記していく。

 

 あまりにふつうの試みに映るかもしれない。美術館の使命はコレクションの収集と保存、そして研究にあり、その成果として常設展やコレクション展が開かれるのだから、それについて語ることは当たり前のことではないか、と

 

 けれど、日本ではそうなってはいない。日本の美術館では、大手マスコミの協賛によって、海外の有名作品を展示する「○○美術館展」が成立している歴史的な経緯があるために、マスコミの広報や美術メディアも「企画展」を大々的に取り上げることになるからだ。

 

 だから、常設展やコレクション展は軽視されてしまう。

 少なくとも、言説のうえでは。

 

 こうした背景のうえで、私たちはこの展評企画を始めたいと思う。

 つまり、ふつうのことをふつうにやってみるということだ。

 

 その名前は「これぽーと」。

 

 命名には3つの意味が込められている。

 コレクションの今について伝えるレポートであることはもちろん、複数人で(co=ともに)レポートすることで、コレクションに関する言説が行き交う港(ポート)をつくること。

 

 活動の中核的なコンセプトを簡単にまとめてみる。

 

 展評を通して、マスコミ協賛モデルによって見えづらくなった美術館の中核にある常設展やコレクション展への関心を高めること。また外部から定期的に批評することで、学芸員を中心とする美術館の内部の仕事を見える化し、その存在意義を社会一般に提示すること。

 

 この2点を通して、私たちの生活の近くにある「公有財産」であると感じてもらえる環境づくりを目指したい。

 

 集まったメンバーは学部生から社会人、また学芸員の方を含めて、年齢も男女比もバランスよい方々である。展評を書くことが初めての方も多いので、第一稿を1か月かけて推敲し、校正する。8月末の10本同時公開のあとは各週一本ずつ展評をアップしていく予定だ。

 手弁当的な企画ではあるが、温かく応援していただけたらと思う。

​これぽーと代表 南島興

*公式ロゴマークは美術家の荒川弘憲さんに制作していただきました。

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